・日本文学の「かたち」とその問題点。
・外国文学との違い
などなど。
・日本文学は、すべて語りの言語による物語であること。
・それしか原理的な方策がないのだから、欧米文学がその近代に目指し
た「客観性」は、日本文学では望むべくもないこと。
・したがって、現在一般的に容認されている、「三人称」的な、一見
客観的な日本文学は、書いている作家の認識不足によるものだ。
・川端康成、大江健三郎、村上春樹など、みなこの論点からは、日本
語の本質が判っていて、書いたわけではない。
・これからどうするか、少なくとも日本語の本質が判っていなければ、
『源氏物語』以上に良いものが、できるはずがない。
もちイフ叢書03『三つの純心物語 鴎外・サリンジャー・カーヴァー』(2017)の
第4章で、ぼくはこの問題を概観した。紙幅の関係で、そこに言及はしなかったが、
西欧的な歴史も日本語では「物語」になってしまう。ということは、日本語による
あらゆる言説が帯びる宿命的な事態だ。