タイトル: 日本文学の方法序説 主人公と主題
世の文学論が避けて通っている大事な問題――作品の主人公と主題の読み損ない――について、過去140年の日本文学からほぼ10年ごとに1作をえらび、その作品が今まで国語の教科書などで取り上げられ、主人公や主題を読み違える指導をしてきたことを指摘し修正する試み。と同時に戦後の話題作について、構造分析による主題の見つけ方を考える。
樋口一葉「にごりえ」(1895)、夏目漱石『草枕』(1906)、芥川龍之介「羅生門」(1915) 、「藪の中」、梶井基次郎「檸檬」(1925)、川端康成『雪国』(1935[-47])、中島敦「山月記」(1942)などなどに加えて、戦後の作品――谷崎潤一郎『鍵』(1956)、三島由紀夫『豊穣の海』(1965[-70)、村上龍『限りなく透明に近いブルー』(1976)、三浦哲郎「とんかつ」1987)、大江健三郎『燃えあがる緑の木』(1995)、多和田葉子『容疑者の夜行列車』(2002)、又吉直樹『火花』(2015)。
最後に、日本文学の最高傑作――漱石『こゝろ』と紫式部『源氏物語』――の主題再検討。