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・鴎外「我百首」
・サリンジャー「The Catcher in the Rye」
・カーヴァー「Blackbird Pie」
いずれも純真な「こゝろ」の意味を訴える、遺書的な三作品。
・鴎外: 小説「舞姫」のヒロインは、26歳の鴎外がドイツから連れてきた22歳の女性エリーゼ・ヴィーゲルト。
その失恋を鴎外は一生悔やみ、47歳になってエリーゼへの謝罪と自らを断罪する意志を短歌100首に
まとめた。地位も名誉も捨てて純心に帰り、森林太郎として死ぬことを示唆した遺書的な作品。今日ま
で誰にも評価されなかった小品だが、芸術的な完成度が随一の傑作。近代日本の汚穢が見事に表出され
ていて、その犠牲となった二人の恋に涙しないではいられない。
・サリンジャー: 大人になることを拒否するこども同盟の結成。その純心の「こゝろ」を、1951年の発売以来読
み解けなかった読者に愛想をつかし、自ら創った純正な主人公を一生自分で生きようとして、40年もの
隠遁を余儀なくされた作者。村上春樹訳の『キャッチャー・イン・ザ・ライ』の誤訳は目にあまる。
作者は、外国語訳は許可したが、訳者の読みに期待しなかった。その絶望のほど(大人の誤読)がい
かに大きかったかを解明。
・カーヴァー: アメリカでは日常茶飯事の離婚劇、しかし、主人公を見捨てて去る妻は、普通の血肉を備えた人
間ではなかった。アメリカでも評価されず、村上春樹訳も読み誤ったカーヴァーの遺書。ごくありふれ
たアメリカ人の生活の一コマを切り取って、佳作にする文学的技量に長けたカーヴァーが、一世一代の
冒険を試みた己れのための文学的「どんでんがえし」。中島敦の傑作「山月記」と双璧をなす。
終章で、なぜ人は文学作品を読み違えるのかを解明すべく、日本語で書かれた近代文学作品を例に、その深層に迫る。日本語の文学と西欧語の文学では、その表出される「現実」の「意味」が大きく異なることを説く。
ぼくの次なる本は、「日本文学の方法序説」(仮題)で、日本文学の原点に立ち戻り、その「イマ・ココ」の時空と語りの本質を、若い読者のために(あるいは、文科省の教科書改訂のために)書きたい。
1000年に一度の大発見!
『源氏物語』五十五巻(誤植ではありません)が作られて一千年後に解明された<「幻」巻までの41巻+「雲隠」巻+「宇治の物語」13巻=55巻>!『紫式部集』は『源氏物語』がどういう経緯で成立したかを明かす、128首の歌による<『源氏物語』の物語>。紫式部の男社会への挑戦! 定価 1,280円+税
『坑夫』(1908)から『明暗』(1916)への9作品の構造分析。過去100年の誤読がいま明らかに。
・<100分de名著:『こゝろ』の>誤読
・漱石研究の専門家たちの誤読:
<NHK特集 『こゝろ』百年の秘密>
・高校生向け国語講座の読み違い